特集 汽笛を残して
夜汽車最終章 


2014年12月


四半世紀を駆け抜けた旅人の憧れ
《トワイライトエクスプレス》

 


電車に乗り込む人々でにぎわう昼前の大阪駅。いつも見慣れた電車にまじって、深く濃い緑色の車体が、機関車の汽笛とともに10番線に滑り込む。ホームに待機していた食堂車クルーが、列車に向かって深々とお辞儀をする。     


そして、この特別かつ厳かな列車が札幌行きの「トワイライトエクスプレス」だと気づいたほかの人々が、あわてて一斉にスマートフォンのシャッターを切り出す。    


残念ながら、この光景も、あと3か月余りで見納めとなった。    


ホームに列車が入ると、前方の 電気機関車の前で、後方の展望室スイートの前で、記念撮影が始まる。車両の前で満面の笑みを浮かべながらポーズをとるのは、夫婦、 カップル、グループ、家族。これから始まる長旅への期待感がひしひしと伝わってくる瞬間だ。    


多くの人が、この列車に憧れ、魅了される理由─。それは「流れゆく景色」「食堂車で味わう食事」「同乗者との語らい」という 三つの非日常に凝縮される。    





11時50分、ガクンという軽い衝撃とともに列車が静かに動き出す。下り列車は、日が沈むまでいくつもの絶景を通り過ぎる。12時45分頃、右手に琵琶湖、左手に比良山。    


15時15分頃、右手に白山。16時45分頃、右手に立山連峰。滋賀から石川を経て富山へ。4号車サロンカーの開放的な窓から望む雄大な景色は、マイカーやバスでは味わえない大パノラマであろう。    


12月〜3月運行のハイライトは、富山—糸魚川駅間の日本海だ。運良く晴れれば、荒々しい冬の日本海と優美な夕日の幻想的なシルエットに息を飲む。  


深夜に青函トンネルをくぐり抜け、北海道に入ると、列車は日の出の頃から苫小牧まで内浦湾をグルリと回る。海沿いを走る列車からは、時おり遠くに駒ケ岳の勇姿が見える。さらに7時25分頃、左手に有珠山と昭和新山。東室蘭到着の7時50分頃、右手に石油コンビナート。時30分頃、右手に白老ファームのサラブレッド。どれも北海道ならではの、思い出に残る情景だ。


<2015年1月号>

↑旅行読売出版社のHPは上記表紙画像をクリック!


【旅行読売 編集部】




JOGIN 旅行読売の記事をもっと読む! 

JOGIN Travel chの記事をもっと読む!