ふらっとあの町へ……
ひとり旅 Vol,2
~ぶらり昔町~


2014年8月


宿根木・佐渡金山・トキの森公園
(新潟)

 


廻船基地の集落と産業遺産を巡る島旅へ




出航を知らせるドラの音がジャンジャンと鳴り響き、フェリーはゆっくりと直江津港を離れた。船に乗る時はいつも心細さと、別世界へ行く期待感の入り混じった気持ちになる。ひとり、そんな気持ちを持て余していると、フェリーの中でJR東日本のポスターを見つけた。女優の吉永小百合さんが、古い木造建築のある集落を迷いながらも楽しそうに歩いている。これから向かうのは、まさしくその集落。佐渡島の宿根木だ。


佐渡島への行き方はいくつかあり、一般的なのは上越新幹線新潟駅からバス10分の新潟港で佐渡汽船のカーフェリーか高速船に乗り、島の中央部東側にある両津港から入る方法だ。しかし今回は、宿根木に最も近い港、島の南西部にある小木(おぎ)港から入ることにした。直江津港から2時間40分の船旅だ。


小木港で路線バスに乗り換える。宿根木へ向かうバスは1日4本と少ない。時刻表を調べて出かけよう。佐渡島は東京23区の1・5倍ほどと広く、効率よく回るならレンタカーが便利だ。 宿根木は江戸時代に廻船基地として栄え、多くの船主や船大工が住んでいた。船板や船釘を使った建物が、入り江の1㌶ほどの土地に100軒以上も立ち並び、唯一無二の景観を作り出している。路地は人がすれ違うのもやっとの幅で入り組んでおり、油断すると方向感覚を失いそうだ。


小木ふれあいガイドの清水勝昭さんの案内で、まずは公開民家「清九郎」へ向かった。築200年近い船主の家で、ケヤキの大黒柱や床、紅殻(べんから)を使った溜塗りの床柱など贅を尽くした造りは見事。


続いて、宿根木のシンボルともいえる三角形の敷地に立つ、三角家(さんかくや)を訪ねた。2年前から土・日曜、祝日に限り内部を公開している。「8年前まで深野アサさんという94歳のおばあさんが一人で暮らしていたんですよ。女手一つで4人のお子さんを育てられてね……」と、清水さんが教えてくれた。家具や雑貨などはそのまま残され、今も深野さんが住んでいるような気がする。豪華な船主の家もいいけれど、人の温かさを感じる三角家に心和んだ。  


千石船を展示している佐渡国小木民俗博物館や、船主の家を改築したカフェ、茶房やましたなどを回っても1~2時間ほどで済む。


バスで再び小木港へ戻り、昼食をとる。1階で鮮魚店を営む魚晴では、選んだ魚を2階で調理し、食べられる。小木市場から毎朝仕入れる新鮮な魚介類の刺し身はもちろん、アワビのうま煮丼などもおすすめ。  


食後は小木の名物、たらい舟に乗る。岩礁の多い小木の海で小回りの利くたらい舟は今も漁で使われている。思いのほか安定感があり、7分のほどの海上散歩を楽しんだ。



★たらい舟は佐渡おけさで使われるすげ笠をかぶった船頭さんが漕ぐ


 


<2014年9月号>

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【旅行読売 編集部】




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