ピッツァの旨さの謎を解け!


2012年3月


 

 


学生時代、生まれて初めて「ピッツァ」を食べたときの感動は、今でも忘れられない。「いままで食べていたピザとぜんぜん違う!」  一人でうろたえるほど興奮し、価値観がグルンと変わるほどの衝撃を受けたのだ。このときの感動が、食べ物への興味が加速度的に増すきかっけだったように思う。 


とはいえ、ずっと疑問ではあったのだ。あの従来のピザとはまったく違う食感、味わい。これはいったいどういうやりかたで、どういう仕組みで、つくられたものなのだろうか?今回のピッツァ特集の取材を進めるなかでは、その謎を解き明かすことが、個人的なテーマでもあった。 


最初にその答えを示してくれたのは、76ページの取材。「本格ナポリピッツァを家でつくる」というレシピを試していたときだ。いや本当に、こういうときは自分の手でやってみるのが一番なのだと実感した。ピッツァの生地は、小麦粉をこねて寝かせてつくる、くらいのイメージはあったが、実際には小麦粉をA「徹底的にこねて」、B「冷蔵庫で一晩熟成させ」、C「常温で発酵させる」と大きく3つの工程があることを知った。 


さらに何度か試しているうちに、これらの作業はそれぞれに目的が明確に違っていることがわかった。大まかにいえばAのこねる作業は”もっちり感”、Bの熟成では”生地の旨味を増やす”、Cの発酵では”ふっくら感”を司っていたのだ。この3要素こそ、あの「いままでのピザと違う!」と感動した生地の旨さだった。 


ちなみに、この「家庭でのピッツァづくり」を体験すると、次からピッツェリアで食べるときも、目の前に現れたピッツァを「読む」こともできる。「お、これはたぶん熟成に時間をかけたな?」「発酵をさせるタイミングがピタリだ!」と、うまいピッツァが自分から語りかけてくるのだ。 


そして、最後は「焼き」の仕組み。生地と具の一体感を司っているのは仕上げの「薪窯の高温」と「チーズの水分量」である。実は、ピッツァでもパスタやマヨネーズづくりと同じように、「乳化」という化学変化が起きていて、薪窯の空気の分子が超高速で動くことにより、生地の上に広がったオイルと、乳化安定剤の役割を果たすチーズから染み出た水分が……。これはもう、本誌の39ページを見ていただくのが一番だと思う。 


いま、日本のピッツァのレベルは史上最高まで上がってきている。今月号のdancyuでは旨いピッツァに出会えるピッツェリア、旨いピッツァの仕組み、そしてナポリと日本のピッツァの歴史まで、ピッツァがもっと旨くなる情報をこれでもかと詰め込んだ。いま、ピッツァを食べずにいつ食べる、という気持ちでお届けしたdancyu3月号「みんなでピッツァを食べよう」。どうか、ぜひご一読ください。


【dancyu編集部 斉藤賢太郎】


 


<2012年3月号>



http://www.president.co.jp/dan/subscribe/